「おくりびと」

 映画「おくりびと」を観る。丁寧に作られた本当に良い日本映画だった。何度も泣けた。感じたことは大きく三つ。
 一つ目は、職業に貴賎はないということ。「おくりびと」とは納棺師のことである。心をこめた職人技は見ていて美しい。本木雅弘も、山崎努もすばらしい演技だった。
 二つ目は、死を大切にすることは生を大切にするということ。日本人は遺体を大事にする民族だといわれるが、この映画をみるとその意味、そして何を実際に大切にしているのかがよくわかった。
 三つ目は、家族の大切さ。特に親子の繋がりの大事さを感じた。親が元気なうちに親孝行しなければと感じたし、子供たちと過ごす時間を大事にしなければと思った。
 また、「うまいんだなあ、これが。困ったことに」や、「夢だと思って追いかけていたものは、たぶん夢ではなかった」とか、石文の話、山形の自然など気の利いたセリフ、話が随所にあふれ、退屈なところがひとつもない映画だった。
 あと、広末涼子の奥さんも良かった。広末涼子のパンツを見せる必要があったかどうかは意見の分かれるところかと思うが、主人公(モックン)の不安な切ない気持ち、それを受け止め支えようとするやさしい妻の気持ちが伝わる感動的なシーンではあった。
 身近で死に接することが少なくなったといわれる現代の子供たちに、ぜひ見せたい映画だ。そういえば最近文部省推薦とかあまり聞かなくなりましたが、それに値する映画だと思います。