自壊する帝国

 佐藤優氏の「自壊する帝国」を読む。1年前くらいに読んだ文庫「国家の罠」が面白かったことを思い出し、書店で平積みになっていた文庫を迷わず購入。今回も面白い。
 自壊する帝国とはソビエト連邦のことだ。政治、イデオロギー、宗教、民族、経済問題が複雑に絡み合い、国家の成り立ちが変わっていく。国家論は奥深いものだと感じさせられた。一方、社会主義の実態、ロシアの二重構造、実は日本の社会に似ているところが多いのに驚かされる。
 また、氏がロシアの要人たちと親しくなっていく様子が嫌味なく描かれている。氏は食通なのか食べ物に関する記述が詳細で、要人と食事に行く話、ウォッカを飲む話などは臨場感たっぷりである。ロシア料理を食べたくなった。最近食べていないな。前の「国家の罠」でも感じたフォーサイスのスパイ小説風の味付けは今回もバッチリで楽しめる。
 ところで、昨年妻に「国家の罠」を譲ったがまだ読んでいないようだ。やはりこれらは男の読み物なのか。

自壊する帝国 (新潮文庫)

自壊する帝国 (新潮文庫)