教育とは

 手術→外来→手術→外来→病棟、とめまぐるしい一日であった。
 一日の終わりに何気なく、昔の医学系雑誌の編集後記を読んでいたら、高等学校における必修科目の未履修問題に関するコメントが載っていた。学ぶ権利が損なわれたという意見が全く出てこないことが嘆かわしい、ということである。確かに共感する話である。それと同時に、高校で何を学ばせ、どういう日本人を育てたいか、という教育する側のポリシーがないことも悲しい。学ぶべきことは何か、教えるべきことは何か、学ぶ権利・姿勢といったことを改めて考えさせられた。
 翻って、医学教育、卒後教育にも同じ問題を感じる。もちろん、後者のそれは、職業教育で、常に進歩しており、生涯自らが自立して学習していくべきもので、本質的に異なる部分はある。しかしながら、医師として最低限必要なこと、今後の自立学習のための方法論などは教えるべきであろうし、学ぶべきだ。例えば、救急医療のABC、緩和ケアの基礎、在宅での看取り、などは、今後の高齢者社会の中で、すべての医師に不可欠の知識であろう。今の医療をどう変えたいのか、どういう医師を育てるべきか、で、何を教えるべきかが決まっていくのではないか。そして、その中で、若者は、さらに自分はどういう医師になりたいのか、を模索していくものであろう。
 しかし、この雑誌は2006年12月号だった。何でこんな古い雑誌が手元にあったのか。身の回りの整理整頓が必要か。