村上春樹さん寄稿 領土巡る熱狂「安酒の酔いに似てる」

村上春樹氏の朝日新聞(20120928)の記事に関して。
 彼が今の時期にこのような発言をすることは、サヨク的と批判を浴びるとともに、さまざまな憶測を呼ぶ可能性があり、難しいことであったか、と思う。しかし、あえて今、この発言をしたことに私は敬意を表するものである。
 まさに今のこの状況は、太平洋戦争前の日本はこんなではなかったのかと思わせる。領土問題に対して引いた発言をすることは、国益に反する愚かな発言とみなされかねない。選挙前のためか、政治家は皆、勇ましいことを言い、マスメディアもそれを煽る。これでは、行きつく先は武力衝突になりはしないか、心配である。
 戦後、アジアの平和のためにさまざまな人々が築きあげてきた日中、日韓友好の絆を断ち切ってはいけない。そのためにはお互いcool downが必要だ。村上氏はしごくまっとうなことを言っているのだ。


村上春樹さん寄稿 領土巡る熱狂「安酒の酔いに似てる」」
作家の村上春樹さん(63)が、東アジアの領土をめぐる問題について、文化交流に影響を及ぼすことを憂慮するエッセーを朝日新聞に寄せた。村上さんは「国境を越えて魂が行き来する道筋」を塞いではならないと書いている。

 日本政府の尖閣諸島国有化で日中の対立が深刻化する中、北京市出版当局は今月17日、日本人作家の作品など日本関係書籍の出版について口頭で規制を指示。北京市内の大手書店で、日本関係書籍が売り場から姿を消す事態になっていた。

 エッセーはまず、この報道に触れ、ショックを感じていると明かす。この20年ほどで、東アジアの文化交流は豊かになっている。そうした文化圏の成熟が、尖閣竹島をめぐる日中韓のあつれきで破壊されてしまうことを恐れている。