「抗がん剤は効かない」というコンドー氏の月刊誌の記事が話題になり、その反論が同じ出版社の週刊誌に載った。反論の方は私の知人も関与しており、患者さんにとって不利益になる可能性のある発言を無視するわけにはいかないという思いから、科学的な分析も加わった、誠実な内容の記事であった。
 想い起せば、うん年前、かのコンドー氏は、「がん検診無用論」や「がんもどき理論」を同月刊誌に発表し、脚光をあびた。単行本も出た。何やらデジャヴュで、過激な発言で名を売り、出版社の販売促進に繋がる一連のしかけで、2匹目のドジョウを狙っているかのようにも見えてくる。コンドー氏は、Radiation Oncologistのはずだが、彼のOncologistとしてのポリシー、ミッション、ビジョンは何なのだろうか。彼もその一員であるはずの現在のがん集学的治療体系、チーム医療をどう考えているのだろうか。
 私たち医師は、現時点で持てる最大限の力を持って、誠実に患者さんと向き合っていくことが大切なのではないだろうか。