病診連携

 夜、病診連携(病院と診療所の連携)の会が開かれ参加する。乳がん診療に特化した病診連携のあり方について、診療所のDrおよび病院Drが参加し活発なディスカッションがなされた。
 乳がん手術を多く手がけている病院の乳腺外来は、どこもいつもパンク状態。待ち時間は長く、予約もなかなかとれない、で患者さんも医療者側もかなりの忍耐を強いられている現状がある。それを高品質を保ちながら、役割分担する方法を考えようというのがこの会の趣旨だ。
 検診、良性疾患の経過観察、手術後安定期の経過観察、術後の内分泌治療などは地域のクリニックで行えるのではないか。スムースに移行させるためにはどうしたらよいか、などが話し合われた。

 一方、このような病診連携の話題は当然乳がんの領域に限らず、すべての領域、医療制度一般に通じる話である。10月18日土曜日の読売新聞の一面に「信頼の医療・現場報告」と題し、オランダやドイツなどの家庭医制度の実際が紹介されていた。オランダでは緊急時を除き、病院を受診する際は家庭医の紹介が必要であるという。家庭医は、専門医への紹介が必要かどうかを見極める幅広い分野の診療能力が必要で、家庭医専門の研修を受けている。
 医師不足で病院の医師が激務を強いられている日本の現状を解消するには、病院と診療所(開業医)との連携が大切であるの間違いないであろう。しかし、患者さんの立場から言えば、医師、医療機関を選ぶ自由が減るという考え方もあるかもしれない。また、極端に言うと、医療を公共サービスととらえるか、ビジネスととらえるかぐらいの考え方の違いになるのかもしれない。
 今後、議論を積み重ね、日本人の心情にマッチし、医療の質と患者さんの満足度の両方が上がる制度を構築していくことが必要だ、と強く感じた。