チーム・バチスタの栄光

 「チーム・バチスタの栄光」を読了。今度旅行に行く時にでもと買い置きしてあったもの。先週の有名進学校の中3の彼も既に読んだと言っていたので、この週末で読みきる。ちなみに彼は、先週私を待っている間、安部公房の「砂の女」を読んでいた。さすが!私が読んだのは高2くらいの時だったか。
 ところで「バチスタ」だが、大筋の流れの中に、死亡時死因検索の問題(オートプシー・イメージングの導入)や第3者医療事故調査委員会設立の問題など最近の話題をちりばめ、味のある小説に仕上がっている。サスペンス仕立てかと思いきや、白鳥という官僚の登場で謎解きは探偵風となっている。大学病院ネタはなかなかリアルで面白い。キャラクターも、こんな人、いるいるって感じで、よく観察し練られていると思う。そして、確かに、大学病院の中には、怪しい部屋があった。私の卒業した大学病院では、外来のした(地下)には風呂まであった。また、主人公が、かつて卒業か、落第かの時に、高階病院長がとったおおらかな措置というような話は、昔、私の学生時代にも聞いたことがある。学生にも教官にも何かしらの連帯感があり、それが大学医学部の雰囲気を作っていた気がする。古きよき時代ってやつでしょうか。そんなところも丁寧に書かれているところが好感を持てた。
 よく売れているということで、一般の方にもその面白さは伝わっているようだ。でも、結末は、...。やっぱ、これはフィクションですよ。

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)

チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600)